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山鹿・古墳巡りと高千穂の旅
2000年6月


 諸星大二郎というマンガ家がいる。彼の作品の「暗黒神話」が好きだ。
 暗黒神話の中で、主人公に与えられた力の謎をとくために装飾古墳を巡るシーンがある。各古墳は一コマ紹介されるにすぎないが実在の古墳なので気にはなっていた。 とはいえ場所が九州なので、敢えて行こうとも思っていなかったのだが。
 そんなある日、仕事中、ヒマつぶしに時刻表をみていてふと思いついた。「なんか行けそーだな」
 もともと時刻表をみるのが好きだったので、すぐさま行程を組み始める。コースがコースなので、敢えて誰も誘わずに一人旅をすることにした。
   
※念のため書いておくと、仕事は旅行業のため、
時刻表をみるのは勉強でもある。(ということに・・・)


 首都よりロシアに近い札幌から首都より韓国に近い熊本に行くためには、東京で飛行機を乗り継がなければいけない。以前、JAS(日本エアシステム)が千歳ー熊本という直行便を出していたが、儲からなかったのか運休になっているからだ。

 昼頃に熊本空港到着。普通、ここから熊本市へ行くだろう。だが私が目指す「山鹿」は「肥後大津」というJR駅からバスが出ていて、おまけに「肥後大津」は空港から車で20分ほど。熊本市に行ってる場合ではない。
しかし、この肥後大津。空港からこんなに近いのにバスもない。それでいいのか?まあ、そんなこと出発前から承知だったので、大人しくタクシーに乗った。

 肥後大津のな〜〜〜んもない駅周辺をうろつきながらバスを待つ。
 やがてやってきた2時間に一本のバス。同乗したおばあさんにアドバイスされて右側に座る。
「こっちが日陰でいいから」
このおばあさん、乗り慣れている。というか、そういうことを考えるくらい暑い土地なのか、熊本。

 途中、菊池という温泉がある土地を通る。ここは渓谷美で有名なところだが、今回寄るヒマはない。そのまま居眠りしつつ終点「山鹿」へ。約1時間半のバスの旅だった。

 さて、山鹿ではもうタクシーしか使いようがない。それを見透かしたようにバスターミナルの真ん前にタクシー会社がある。
さあ鹿央町(かおうちょう)にある「熊本県立装飾古墳館」へGO!

 おい、誰もいないぞ。タクシーを降りると広大な敷地に人っ子ひとりいない。いるのは北海道サイズとは明らかに違う虫のみ。(でかっ)しかも建物どこ?
わからないまま歩いているうちに、写真(左)のような光景に出くわす。「さすが装飾古墳館だねぇ。古墳ごと再現かい」と関心する。あちこちに「●●古墳まで●●m」という標識がある。ここで、再現=ニセモノだと思いこんでいた私だが、実はここ「岩原古墳群」という本物の古墳たちだったのだ。
 そうとは知らず「しかし無駄に広いな。まだかよ、入り口」と愚痴りながら、てくてく歩いていて、しょーもないものまで見つける。「埴輪のどうぶつえん」(写真右)。何を狙ったんだ、これ。(といいつつ自分がまんまとひっかかって写真まで撮っている)
 やっとたどりついた「装飾古墳館」はなかなかのものだった。九州にある古墳のレプリカが12基あり、色々な体験なんかができる施設もあるらしい。(たぶん、埴輪つくりとかだと思う)
 そして、あったね「3D映画」。だいたい、3D映画なんてロクなもんないんだよ。眼鏡かける時点で怪しいってなもんだ。ということは、見ねばなるまい。 客は私一人という贅沢な環境で、3D映画は始まった。テーマは「防人」。
 本来、悲しいテーマなのに、頭ではさだまさし「防人のうた」が回り出す。もうダメだ。
 さらに映画そのものにも追い打ちをかけられる。主演:根津甚八。百済からきた帰化人:江守徹。その他知った顔数人。こんなところで細かく稼いでいます。とくに江守徹の熱演は笑いがこみ上げた。最後、根津をかばってグラグラ動く軽そうな柱の下敷きになって死ぬところなんかも。

 古墳館を堪能し、タクシーで今日の宿「山鹿サイクリングターミナル」へ向かう。キッパリと安宿だ。
 なぜここを選んだかというと、チブサン古墳を管理している「山鹿市立博物館」の隣にあるからだ。そして、サイクリングターミナルなだけに、自転車もある。車の運転がやや苦手な私は自転車が好きなのだ。


 翌朝、目覚ましより早く起きた私は、ふらりと散歩にでた。宿の向かいに石碑があった。「西南戦争激戦地」
 ふっ・・・さすが九州。西南戦争だって。----ところで西南戦争って西郷さんだっけ?
 もうからっきしアホだ。いつものことだが、下調べしなすぎ。後で知ったが、本当に激戦地だったらしく、そのせいか幽霊ポイントであるとかないとか・・・(しらずにぐっすり)
 宿のまわりは「古代のへ道」というものになっている。はっきりいって、レプリカといってもいいかどうかの石版が数点あるだけなのだが、記念に一枚とっておく。(写真は長岩横穴群のレプリカ)。人気がないので街路樹の添え木にカメラを設置するのも恥ずかしくなくて良い。

 散歩を終え、朝食を取ると8時。レンタサイクル開始時間だ。
 2時間コースの地図を片手にさっそうとママチャリをスタートさせるやいなや、隣の博物館前の草むしりをしている集団に「おはようございます」と挨拶される。ほっかむり&麦藁帽という、あまりに典型的スタイルの人々に挨拶を返す。う〜ん、田舎は人情あってよい。
 写真左はコース途中にある「オブサン古墳」。博物館のすぐ近くにある。
 右はコース終了近くにある「鍋田横穴群」だ。のところが穴です。
この坂を上りきったところが宿だ。写真ではわからないが、ここの坂は地獄坂でさすがの私もチャリを降りた。

 2時間のサイクリング運動と熊本の暑気は私を汗だくにした。
 実は今回の最大目標「チブサン古墳」は1日に2回しか公開されず、その一回目が10時!もうギリギリだ!私は自転車を返却し、隣の博物館に駆け込んだ。
「チブサンの見学できますか!?」汗だくで息を切らせる怪しい女。
 受付の女性は「あ、大丈夫ですよ」と言って、案内人を呼んできた。館長らしきその男性が古墳案内してくれるらしい。なかなかダンディな人だ。
「あ、さっき自転車で行った人ですね?」「え?」  なんと、そのダンディ館長はあの草むしり集団の一人だったのだ・・・・

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