ランの太っ腹育児記録
我が家で初めてヒナを孵したのは初代ピーコ・初代ピピ夫妻だった。なんの知識もなくなるがままにしておいたら、約90%の死亡率。
おそらく、抱かせる卵が多すぎたせいであろう。(プラス、就学前だったツクヨミのいじりすぎ)
小さな巣箱の中で7羽も8羽もヒナが孵ると、後で生まれた方が踏まれたり充分エサを貰えなかったりで、どんどん弱っていくのだ。
3代目ピーコ・ラン(ゴロ)が卵を持った時は、かつての失敗を考慮し、生まれた卵を間引きさせていただいた。この「間引き」に関しては賛否両論があると思われる。
我が家は親鳥自体が手乗りであったため、子育てに不安があったことに加え、たくさん生まれても子供達の将来を約束できないという点から間引きに踏み切った。
実は初代ピピと2代目ピピは妻であるピーコに殺されている。殺しの原因は「子育て」だ。オスには抱卵中(子育て中)のメスにエサを運ぶ仕事がある。こういった義務を怠ったり、メスが気にいるようにできなかったりすると、ケンカになって大抵メスの大勝利に終わるのだ。
3代目ピーコが借り物ラン(詳しくは鳥紹介コーナー)に殺されたら一大事である。ランを連れてきた私の立場が・・・(笑)
案の定、ピーコは手乗り特有の遊び野郎で、抱卵中のランにエサを運ぶ気配もない。
通常なら、この時点でピーコは血祭りである。
ところが、ランはすごい女だった。交尾以外まったく協力しないピーコには見向きもせず、自分でエサを食べ、一人巣箱に帰って卵をあたためるという女傑っぷり。
まさにシングルマザーだが鳥社会でこんなのアリか!?
ひどいよ、ピーコ!
しかし、ひどいのはピーコばかりではなかった。いくらランがすごいとはいえ、共稼ぎ家庭の誰もいない日中に何かあっては大変。飼い主はランの素晴らしさに甘え、ピーコとランのカゴを分けることにした。(ひでぇ〜〜〜!)
ラン、人間によってシングルマザー確定
資料によると、セキセイインコの抱卵期間は平均18日だという。
ランの場合、交尾を確認してから約21日目にヒナが孵っていた。この21日間は、飼い主にとってなかなか大変な時期だった。
親鳥は巣箱の中を清潔にするために、糞を巣箱の外にする習性を持っているらしい。ところがうちのランちゃん、鳥カゴごと巣箱と認識していたのである。つまり、カゴの中では糞をしない。
当時学生だった私がPM4時半頃に帰宅→カゴをあける→待ちかまえたように出てきてすごい大量の糞をする。
セキセイインコの糞なんぞ、直径3mm程度だ。ところがこのランの貯め糞は小皿一杯ほどもある!半日以上がまんしているとはいえ、どこに貯まってるんだ??
おちおち寄り道もできない。
私はなるべく早く帰宅し、鳥カゴから出るランのあとを新聞紙を持って追いかけ、大量の糞を新聞紙でキャ〜ッチ!というのが日課となった。
貯め糞をすると、ランはエサでは摂取しきれない栄養を補給するために、果物かごを襲撃する。おもに、バナナの皮を好んで食べていた。
もう、何をやろうとも誰もモンクを言わない、言えない。だって、その横でバカ亭主のピーコは「ピーコちゃん」とか言いながら遊んでいるのだ。ううう・・・
そしてついに、ヒナが2羽生まれた。ヒカル(左)とジュン(右)である。(ネーミングはつっこみ禁止)
ご存じとは思うが、セキセイインコの生まれたてのヒナなんて肉の切れ端みたいなものだ。誰が見ても可愛くなるのに2週間はかかる。ニワトリとかのヒナはあんなに可愛いのに、なぜだ・・・
可愛くなった頃というのが、ヒナの巣立ちが近くなっている頃だ。この頃になるとヒナも好奇心旺盛になり、巣箱を開けるとこちらを見たくて見たくてしょうがない。翼をひろげてヒナを隠そうとするランの後ろから首を伸びるだけ伸ばして覗こうとする。・・・可愛い・・・
ヒナの巣立ち寸前、ツクヨミ一家は法事のため、一泊家を留守にした。ランのエサが足りなくなることを気遣い、カゴは開けていった。(外に出れば食料も見つかるだろうという安易な発想)
次の日の夜、家に帰ってきたら、なんとヒナが一羽、ヒカルがいな〜〜〜〜い!!
どうやら巣箱から出たらしいのだが、迷子になったようなのだ。「ひえ〜〜〜」遺体発見覚悟で探したところ、窓とソファーの間にいた。まだ生きていた。すぐ巣箱に返して、あとはランに任せた。
その時のことが原因かは不明だが、ヒカルはジュンに比べて鳴き声も弱いし、やや痩せている。
我が家は日中誰もいないので、人間が様子をみてやることができない。心配になった私が学校でそのことを言っていると、友人Nちゃんが「うちで貰いたい」と言ってくれた。
こうして、ヒカルの里親がきまった。知らない人じゃないから私も安心。
当時、父の出勤と一緒に父の車で登校していた私は、段ボール(小)とヒカルを持って登校(笑)
休み時間に挿し餌をしつつ、下校時間を待った(ってアンタ授業は・・・)
今思えば、事情を話せばそれですむものを、なぜか先生に内緒にしていたため、授業中ヒカルが鳴き出すと私の周りの席のあちこちで咳払いが始まるという不自然な1日だった。
それからしばらくして、ジュンも親戚の家に貰われていき、また我が家はピーコとラン夫妻だけになった。
実は、その後2回ほどランは卵を孵したが、私のエサのやり方が悪くカルシウム不足だったようだ。2羽とも足が悪くて(たぶん腱はずれ)、内蔵圧迫のためか死んでしまった。それ以降はランのためにも巣箱を入れることをやめた。
ランは良い母鳥だった。太って飛べないくらいだったのに、たった一人で子育てしたために、すごく痩せてしまった。それなのに、遊び人亭主のピーコを攻撃することもなく、特別人間になつくでもなく(笑)。
貰われっ子でありながら、ツクヨミの中に大きな思い出を残してくれた。