三重県上野市
イトタヌキモの自生地
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![]() イトタヌキモの花 |
![]() イトタヌキモの花 |
![]() イトタヌキモ |
![]() イトタヌキモ |
![]() 不明タヌキモ(小宮先生に鑑定依頼中) |
6.池のほとりで...。
公園の駐車場から南下する形で車を走らせる。結構宮本さんは飛ばす方かな?
近鉄伊賀線と併走する国道422号線を南下して左に入る。山並みの農村風景を
思わせる所を走り抜けると、風景が広がりまた田園地帯になる。小高い山が多い
上野ならでは風景であろう。暫く走ると、左手の小高い丘の木々が一部なくて
その斜面に芝生のような草が生えたような所が幾つも見える。ここがため池だ。
その内のひとつを狙うかのように集落に入ると狭い道を抜ける。道すがら、おじ
さんが草刈をしていたのだが時ならぬ車の大集団が通るので何事かと不思議そうに
見ていた。
ため池に通じる細い道に1列に車を停めるとため池の周辺には水が豊富であちらこち
らから水が湧き出ており湿地状態になっている。ただ鉄分が多いのか、土は真っ赤に
なっていた。「今度は獣道を通るのではぐれないようについてきてや。」宮本さんが
大きな声で言う。斜面を登りきると、眼の前には広大なため池が飛び込んできた。
200m四方は優に超える大きな池である。水面には丸い葉を持つ水草が繁茂して
いる。ジュンサイだ。季節になるとゼラチン状のもので大事に包まれた新芽を摘んで
吸い物などにして頂くと、その香りが口の中に広がり、ヌルヌルの一風変わった刺激で
深い愉悦に誘われる。日本料理の椀物の具材として珍重される訳だ。これだけの量だと
恐らく近在の農家の方が収穫されているのであろう。
ジュンサイを見ながらため池の堤を歩き、正面に見えてきた薮に向かう。途中、
堤の下を見ると水が滲出して食虫が自生してするに適した環境が見える。行きたいのは
やまやまだが、先頭は薮に入っていった。おっと、今は薮に向かおう。あれっ?!後が
来ていない!そう、関東組の何名かがついて来ていないのだ。仕方がないので薮の入り
口で先頭の行き先を確認して待つ事にした。暫くすると鵜原さんがいらした。「もう
すぐ来ますよ。」するとガサガサッ!と草を掻き分ける音が。「なんだっ?!」2人の
間を茶色い物体が横切る。尻尾の先が白かった。キツネだ。野生のキツネだ!タヌキは
見たことあるが、キツネは初めてだ。後から来た池田さんや出口さんにキツネの話を
すると大層残念がっていた。「もっと早くこればよかった〜。」
程なく皆が来た。どうやら入り口付近でD.rotundifoliaを見つけたそうだ。全員
揃った所で早速薮の奥に向かう。獣道を100mも行った所で木々が茂る林になった。
皆の声がするのでその方向をみると池のほとりに皆が居るので木々の間を分け入って
行く。そして、池のほとりに出ると水面に黄色い花が浮いている。丁度、U.bifidaの
様だ。近づいてみるとか細い茎を持ち、やや白さを感じる。タヌキモ(U.australis)の
堂々とした様子とは全く異なり、真っ黒な捕虫嚢を持って居なかったらおよそ食虫植物
とは思わないだろう。池のほとりに互いに寄り添うように絡みつき、繁茂しているが
決して大量にあるわけではない。それでも、捕虫嚢にいっぱい餌をほおばったU.exolet
aを見ると逞しささえ感じるのは私だけだろうか?
宮本さんに言わせるとここには2種のタヌキモが存在するのであるそうな。確かに
ひとつはU.exoleta(イトタヌキモ)であるが、もう1種はイトタヌキモによく似た
姿をしているが、なんだろうか?内藤さんが「小宮さんに送って鑑定してもらお!」と
おっしゃていた。そうすればこの不明種とされるタヌキモの正体も分かるであろう。
さらに奥に進むとU.caerlea(ホザキノミミカキグザ)があるそうだが、更に深い
薮だそうなので皆行くのを断念した。ふと水の中に目をやると...、いるいるトンボの
幼虫ヤゴだ。日本は世界で最もトンボの種類が多い国である。日本の事を古くは
「あきつが原」とも言うが、この「あきつ」というのはトンボのことで、いかに昔から
多くのトンボが舞って人々の目にとまっていたかが分かるものだ。
突然、内藤さんが「ヒメタイコウチがいるで〜。」と言った。私は驚いて内藤さんの
方に走っていった。何故ならヒメタイコウチは日本では岐阜県・愛知県と兵庫県にしか
生息していない言わば珍虫なのである。それがここ、上野の地で見つかれば新発見では
ないだろうか!「これや、これや。」と指し示す先を見ると....。なんだ。タイコウチ
の2齢幼虫でした。それでも、池田さんは興味深そうに指でなぶって遊んでいた。
さて、そろそろ次の自生地に向かうとしよう。もう16時近い。もと来た道をもどり
堤を降りる。途中に先ほど関東組が見つけたD.rotundifoliaを見に行く。南向きの
斜面で太陽を浴びて、めいっぱい捕虫葉を広げた形のよい健康的なD.rotundifoliaで
ある。
車に乗り込み、バックをして途中のわき道で方向転換をするが、5台もの車が方向
転換するのは少々骨が折れるが仕方がない。次の自生地はフトヒメタヌキモ(U.minor
form.stricta Komiya)が見られる場所だ。今回はタヌキモづくしである!いざ、出発
だ!