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龍河洞




 浦戸湾とは直接関係ありませんが,高知の文化という話が出たので,それと関連して龍河洞(りゅうがどう)のことを書いてみます.

 龍河洞は高知県の土佐山田町にある鍾乳洞です.ふつうの観光コースのほかに「アドベンチャーコース」というのがあって,私もそれにチャレンジしたことがあります.無理な姿勢で狭い所をくぐらされたり,ちょっとした岩登りをさせられたり,散々な目に会いましたが,たいへん面白い体験でした.まだ行ってない人はぜひ一度行ってみるべきだと思います.1人でも受け付けてくれますが,できればグループで予約すると良いでしょう.

 と宣伝しても私は土佐山田町に恩があるわけでも何か依頼されたわけでもありません.それはそれとして...

 私の出身である高知小津高校はその前身を海南中学校といって,軍人をたくさん出した名門校だったそうです.その海南中学校に山内浩という先生がいて,この人が高知の鍾乳洞を調査し世に知らしめた最大の功労者のようです.昔の本ですが,筑摩書房から出ていた新書版の本で,グリーンベルトシリーズというのがありました.その中の1册が山内浩著「洞穴探検」(昭和39年)です.その本から少し引用します.
 

(以下引用)

・・・郷土史家寺石正路先生の書かれた「土佐名勝誌」に「香美郡佐古村の逆川に竜河という岩窟あり,奇岩怪石洞内に満ち,水流洞内を轟き流れ,其奥止るところを知らず」とあった.

 受持ちの生徒にきいてみると「私たちが案内します」とのことで,・・・5年生の公文,村上,岡田,戸嶋の4君が案内役となり,勇躍して竜河へでかけた.

・・・麓から仰ぎ見た紫色のその中に竜河があるという三宝山の石灰岩の山容と,左右2つの真黒な口を開けて水音が鳴っている竜河の入口とは,まず私の好奇心を満足させてくれた.私はそれまでに日本第一と云われている秋芳洞や風連洞,四国第一と云われる羅漢洞に入っていたが,この時ほど神秘的な印象をうけたことはなかった.

・・・奥はすばらしい洞穴だった.地下水流は連続した瓶穴を作り,瓶穴から瓶穴へ滝となって流れ落ちる水の響きは私にとっては快い音楽のよう.変化きわまりない鍾乳石が次から次へと現れてくる.高い天井を仰いで,幾度「これはすばらしい」と云ったかしれない.今までに入ったどの洞穴よりも立派に思えた.・・・

(引用おわり)
 

 というわけで,当時の龍河洞には本当に龍が住んでいたのかもしれません.すでに日本各地の鍾乳洞を探検されていた山内先生をしてここまで絶賛させた,それが龍河洞でした.この山内先生たちの龍河洞探検が昭和6年(1931)のことで,昭和9年(1934)には龍河洞は国の天然記念物に指定されています.今ある観光地としての龍河洞はひとえに山内先生の貢献によるものでしょう.

 山内先生たちの活躍の一端を,「龍河洞博物館」の展示品の中に伺い知ることができます.ただ,ここでは時が止ったままで,展示そのものが「博物館行き」になりそうな古色蒼然たるものになっています.本当に機能する,常に更新され地域文化の核として機能するような真の博物館を,高知県民は持っていません.

 話がなかなか核心に近付きませんね.この続きはまた今度にしましょう.
 
 
 
 
 

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