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糞虫

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 糞虫(ふんちゅう)とは動物の糞に集まるコガネムシの仲間です.有名なのはファーブルの昆虫記に出てくるタマオシコガネ(スカラベ).糞を押して転がす習性が愉快ですね.スカラベはこの糞を土の中に運び入れて,そこに産卵します.孵化した幼虫はこの糞を食べて成長,やがて成虫となって土から出てきます.
 
 

ダイコクコガネ♂

 日本にはスカラベはいません.しかし,たとえばダイコクコガネを見てください.体長は2センチを少し越える程度ですが,♂には立派なツノがあります.頑丈な体つきは,カブトムシのエッセンスをぎゅっと濃縮したような雰囲気です.
 
 

ゴホンダイコク♂

 ゴホンダイコクの♂は頭に1本と前胸に4本のツノを持っています.ツノコガネの♂は,これまた見事なツノをもっています.どちらも体長1センチほどです.もう少し大きければカブトムシやクワガタムシに負けない人気者になっていたかもしれません.
 
 

 ツノコガネ♂

 ツノを持っているのが♂だけという点もカブトムシやクワガタムシと同じです.しかしツノがどういう機能をはたしているかというと,どうもピンと来ません.カブトムシやクワガタムシの♂は樹液の良く出ている場所をめぐって争います.ツノはそういう闘争に役立っています.糞の中ではダイコクコガネの♂が,同じような熱い戦いを繰り広げているのでしょうか.
 
 

 糞虫の中には美しい色をしたものもあります.その代表は何と言ってもオオセンチコガネでしょう.ふつうオオセンチコガネは赤紫色を基調とする色彩ですが,奈良公園のオオセンチコガネは濃い青色で,ルリセンチコガネとも呼ばれます.また京都の音羽山のオオセンチコガネはミドリセンチコガネとも呼ばれ,美しい緑色をしています.

広島県宮島(左端),京都府音羽山(中央),奈良公園(右端)のオオセンチコガネ.






 燦然と輝くオオセンチコガネは,まさに「生きている宝石」です.「何を食べてこんなにきれいになるんだろう?」という質問をよく受けます.冗談ではなく,素直にそういう疑問を持つ人がけっこういるようです.答はもちろん動物の糞,ウンコです.成虫の食べ物もウンコ.幼虫の食べ物もウンコ.先祖代々,一生ウンコばかりの食生活です.だから,この「生きている宝石」はまさしくウンコの結晶なんですね.

 動物の糞には糞虫だけでなく,さまざまな昆虫が集まります.そこに糞があるからこそ生きていける昆虫もたくさんいます.動物の糞は自然界の「生物の多様性」をささえる重要な要素です.市街地の中にポツンと残っている山,高知市ですと高知城とか筆山とか,そういう場所は「公園」だというので,動物の糞はきれいに掃除されてしまいます.本当は昆虫たちのために少し残してあげて欲しいものです.そうすれば公園の自然はもっと豊かなものになるはずです.
 
 

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