ラッパムシ
Stentor
ラッパムシは池に住む繊毛虫(せんもうちゅう)の一種である.ゾウリムシ,ツリガネムシなどとともに名前はよく知られているが,実際にラッパムシを見た人は意外に少ないらしい.しかし実体顕微鏡の下で,たとえばソライロラッパムシを見るのは,ちょっとした感動体験である.ラッパムシは水草などにくっついて体を長くのばし,先端をトランペットのように広げる.泳いでいるときには,それほど体をのばさない.
ラッパムシにはいろいろ種類がある.ソライロラッパムシは,光の当てかたにより緑色に見えたり紫色に見えたりする.色のついてないラッパムシも多い.ミドリラッパムシは色がついてないが,体内にクロレラが共生しているので緑色に見える.
色のついているラッパムシは,ソライロラッパムシのほかにもたくさんあるが,どれも体は小さい.ピンクや茶色,紫色など,さまざまな色のラッパムシがある.
ソライロラッパムシ Stentor coeruleus
游泳中の個体.本種は体表面近くに特殊な色素を持ち,透過光で青緑色,反射光で赤紫色に見える.鞭毛虫や藻類を餌としてい
る.多細胞のプラナリアやヒドラと同様,強い再生力があることでも知られる.核はじゅず状である.ラッパムシの類は尾端で水草や水中の落葉などに付着し,トランペット状に長く伸びるが,この写真のように游泳していることもある.
ミドリラッパムシ S. polymorphus 無色のラッパムシであるが, 体内にクロレラを共生させているため緑色に見える.古い写真にパソコンで色をつけてみましたが,やっぱり不自然?
ミュラーラッパムシ(仮称) S. muelleri 無色.細長くのびるので,ラッパムシの研究家ターター博士は「トランペットというよりはトロンボーン」だと言いました.細長くのびた先がゼラチンのようなもので包まれているのが見えますか?
サヤラッパムシ(仮称) S. roeseli 無色.細長く伸びた体型,体の基部がゼラチン質の「さや」で包まれることなど,ミュラーラッパムシと共通の性質をもつ.ただし大核の形が,ミュラーラッパムシは「じゅず状」,サヤラッパムシは「ひも状」である.最も普通に見られるラッパムシで,変異も多い.


次の3種は極めて小型のラッパムシで,いずれも卵型の大核をもつ.
Stentor multiformis ソライロラッパムシと同じような色素を持つ.透過光で青緑色,反射光で赤紫色に見える.核は球形(卵形)である.本種を含め卵形の核を持った種は飼育が難しく,ほとんど研究がされてない.
Stentor igneus ピンクの色素を持っている.核は卵形である.採取した池水の中で接合しているものを偶然に発見した.
Stentor fuliginosus 茶色の色素と,共生クロレラ(緑色)をもつため,全体として黒っぽく見える.茶色の色素を持ちクロレラを持たないものは別種で, Stentor niger という名称になっている.

卵形の核をもつ小型ラッパムシ類はほとんどが有色で,分類の基準はほとんど体色と共生クロレラの有無だけである.
古い写真ばかりなので色がよく再現されていません.そのうち新しい写真と差し替えようと考えています.