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私が最初に彼に会ったのは、仕事で北ドイツに渡った時であった。

北ドイツで友人の営んでいる小さな日本食レストランに立ち寄った時、その友人は私に「知り合いに同郷出身者が居るから三人で故郷の話でもしよう。」と持ちかけてきた。

軽い乗りからであったが、彼との出会いは私の人生観そして世界観そのものを大きく変えた。

彼の第一印象は、柔和で物腰が静かな紳士との感じであった。

そうでありながら、慈愛に満ちながらも全てを見透かしているような眼光が目に焼きついた。

最初は異国の地に暮らす者の人生を物語っているのだと思っていたが、これは全くの見当違いであった。

彼と話しているうちに先ず、彼の驚くべき知識に驚いた。

彼はあらゆる分野に精通し記憶力も優れ、数ヶ国語を操る事も簡単であったのだ。

何も、私の知らない故郷の記憶を鮮明に覚えているだけではない。

歴史、文化、政治・・・・。

彼は常人には知り得ない何かを知っているのではないかと、話しているうちに確信した。

友人は彼の話しは難しくて適わないと言っていたが、私は違った。

その時には既に、彼が一体何者であるのか知りたくなっていたのだ。

翌日、友人に彼の素性をさり気なく聞いてみたが、住所と電話番号を知っている以外は全く知らないとの事だった。

時々店には来るが、込み入った話はしないと言う。

彼が何故、会ったばかりの私にあれ程までに色々な話をしたのか分からないと友人は言った。

私は早速、先日既に彼から聞いていた電話番号を頼りに電話をかけた。

そして再び、彼と会う約束をした。

週末、中心街のオープンカフェで彼と会った。

彼は前回と同様に紳士な出立ちで現れた。

そしてまた興味深い話をし始めた。

普通であるならば疑い深い私である。

彼の話は到底、共感できなかったであろう。

だが、違ったのだ。

それは何故か・・・もちろん、彼の醸し出す印象や誠実な眼差しや博学にもあった。

しかし、それ以上の何か特別なものを感じたからだ。

私には、彼がパラノイア(偏執症・妄想症)や多重人格や統合失調症等の一種の精神病であるとも思えなかったし、嘘をついているとも見えなかった。
精神病患者や、ペテン師とは違う何かがあったのだ。


彼は2002年にドイツに渡ってきた。

パスポートも証明しているように来独当時、彼は48歳であったが今現在も30代前半にしか見えない容貌をしている。

更に、7年前に発行されたパスポートの顔も今現在と何ら変わりが無い。

労働ビザも無かったようだが、何故か彼は大金を所持していたようだ。

目的は人類の何かを探すために来独したという。

この何かについては、今はまだ言えないとだけ彼は言った。

そして、話は続いた・・・。


以上が彼との最初の謎多き出会いの一部始終である。

彼の承諾を得てこれ以降、私は彼の詞を残す事にした。

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