Yさんのご依頼で
レスポール タイプの電飾ウクレレを製作することになりました。この電飾ウクレレは
光るだけでなく、ハカイダーのようなヒールっぽいテイストを加えてほしいということで、デザイン自体も
かなりかっこいいし、派手な電飾になる予定です。
ネジ付けや新回路の装着などで大変シビアな製作となるので1年越しの極秘工房となります。


(完成予想図) (カラー予想図)
(1)電飾指板の製作


指板のスケールはコンテナー(コンサートとテナーの中間の12フレット200mm)サイズで20フレット。
電飾ウクレレの一番の難関といえるのがこの指板。黒檀であれば、ミリ単位での調整が可能ですが、
木材というのは木目があるため正確な穴あけは至難の業です。修正を重ねて丁寧に仕上げていきます。


千枚通しで小さい穴を開け、ハンドドリル(バイス)で小さい穴を開けます。その後、電気ドリルで穴開けし、
慎重にLEDを埋め込む穴を開けていきます。


オモテは黒檀、ウラは補強のためにコアの2mm板を接着しています。

Yさんの依頼で今回は初の試みでネジ付けで指板とネックを装着します。
これは修理などを可能とするための工夫ですが、ネジ穴をつける作業もとても手間のかかるところです。


すべてのフレットには細かい配線とのスイッチングのために半田付けをします。これは熟練を要する
部分です。


フレットを指板に慎重につけ、バリをニッパで切ります。このあとLEDを埋め込み配線します。


配線チェックを念入りにした後、光ファイバー(0.75mm)を埋め込み、その後、ドライヤーで平らに整えます。
光ファイバーは折れやすいのでやはり慎重に扱う必要があります。電飾ウクレレ製作にはこのような
ウクレレ製作とは違った分野の集中力を使うので、大変ではありますが、上手く出来た時には普通の
ウクレレを製作し終わった時よりも感激しますし、失敗した時は大変悔しく思うこともあります。
まるで綱渡りの私の人生のようです。
(2)ネック(マホガニー)の製作


ネックに配線が収まるように中に窪みをつけます。電飾指板は神経を使いますが、ネックの削りは体力を
使います。


皿ネジが入るよう電気ドリルで削り出しをします。黒檀は硬いのでこのような加工が可能です。

うまく、ネックに収まりました!!ネジ付けもありですね。
(3)ヘッドの製作


実はヘッドの製作にはかなりの時間をかけてます。(ヘッドの内部の画像は機密部分にて省略。)
ネジ式なのでメンテやさらなるバージョンアップが可能です。下に写っているのは今回のボデイ型です。
(4)ボデイの製作
(使用板の紹介)


一年前に購入した黒檀、縞黒檀。左の黒檀は当初は綺麗でしたが、1年保存後は亀裂が入ってしまって
いたので残念ながらヘッドの1部だけに使用。縞黒檀は強度とタップ音も良いので今回のTOP板に使用。

側板、裏板候補のウオルナット。杢が少し入ってます。
(ボデイ型の製作)
桐の板を重ねて糸鋸で型を製作します。

(サイド板の変更)


当初は黒檀で側板を曲げることを予定していましたが、カッタウエイは予想より曲げが難しいことが判明。
黒檀ではベンディングアイロンで丁寧に曲げても割れてきてしまうので板をウォルナットに変更。
上手く曲がりました。

型にはめたまま、出番までしばらく保存しておきます。


表板は黒檀です。側板と裏板はウオルナット。いずれもブックマッチで左右対称に板をつけてます。
裏板は念のため二枚切り出ししました。
(なお、ボデイやネックは最終的に黒く染めます。)
(ネックとボデイの接着)


まず、Topが黒檀で堅い板なので表板のバリを丁寧にとる作業に手間取りました。順番では、ボデイの
電飾の埋め込みなどが先なのですが、電池Boxの配置位置の全体のバランスどりのためにボデイとネック
を先に接着しました。

まだ、ボデイの電飾化の重要な作業などが残ってます。すでにカッタウエィの感じが今回のテーマに
ぴったしです。
(エンドピン・ジャックの取り付け)

このために12mm径の木工用ドリル刃を買い、エンドピン・ジャックを予め装着。
(ピックガードの製作)

東急ハンズで探してきた羽っぽい綺麗な柄の反射プラスチック板。もともとは缶やペットボトルなどの
リサイクル再生品だそうです。この板は堅いのでハサミで切った後、ヤスリやカッターで形を整えています。
(ボデイへのLED穴の掘削)


ただ表板にLED用穴を開けただけでは、板が薄いのでこのままでは取り付け強度が足りません。
いらない紙を押し付けて型紙をとり、補強用の板を作成します。


型紙に沿って輪郭をウオルナットの2mm板に鉛筆書きしていきます。
ウオルナットは加工がしやすいのでこういう細かな板を作成するには便利ですね。
カッターでガイド用の切り込みを入れて、糸鋸で切りやすくします。こうすることで割れを防ぐことができます。


うまく補強用に板が収まりました。

補強用板をつけることによって窪みをつけることが可能に。
LEDが演奏者の指先に引っかかることを防ぎ、かつLEDの明るさが増します。
小さい穴は、0.8mmの穴で0.75mm径の光ファイバー用です。黒檀は堅いので細いドリル刃が一本
ダメになりました。ま、よくあることなので仕方ないですが。この細かい作業で1日かかります。
(ブリッジの製作)


黒檀の切り出しを糸鋸でします。ブリッジはフレッタブルブリッジ方式。ブリッジ側の弦幅は1.3cmでいつも
より2mmぐらい狭い設定です。

弦の種類によって正確な弦長の調整が可能です。
この時点で試演奏出来ました。弦はダダリオのクリア弦を仮張りしました。この時点では黒檀特有の
上品で綺麗な音が出ました。どちらかというとクラシック系な響きに近いでしょう。ただ、まだ裏板なども
つけて塗装などの工程もあるので、また少し違う感じの音になると思います。
(稲妻ラインの張りつけ)


手間がかかりますが、埋め込みの溝をデザインカッターで切り込みます。

貝のインレイもアレンジで入れます。高級感が出てきました。
ボデイも黒に仮塗りしておきます。
(ボデイ内の電飾埋め込みテスト)


配線が複雑なため、ショートしていないか、Ledが半田付けの熱でダメになってないかチェックして
おきます。こまめなチェックをしないと折角の配線も一瞬でオシャカになってしまいます。
(ボデイ配線の様子)


あまりの配線の多さにびっくりですが、このままだと音に影響するので、のちに配線を綺麗に収納します。

この部分は予定よりLedを増やした部分。

形にはなってきましたが、まだまだこれからです。
(だんだん暑くなってきたので、配線の半田付けが大変ですね。)
(Led電子回路とスイッチ類の取り付け)

複雑な配線のため、どこからはじめるかという部分で考えさせられるところ。ここの部分は集中力がかける
と大変なので任天堂DSゲームを休憩にはさみながら作業。

フレキシブルロッドも装着。ネオンみたいに光ります。
(配線の整理)


この配線の収束具合で結構、音に影響があるので慎重に配線をグラステープで束ねていきます。
まだこの時点では電池Boxの配置がまだですが。
(電飾テスト)

これは光ファイバーとサウンドホールの星の7色LED点灯(第一段階)
予想より光ファイバーの光力が強いのでこれだけでも迫力あります。

中央点滅LedとヘッドのLedの点灯(第二段階)
少し派手に光ります。
(フル点灯)

自動点滅回路を3つ使用した第三(点滅スピード可変)、第四段階のLedフル点灯。
凄い速さでLedが移動点滅しています。こ、これは予想以上の迫力の電飾です。
私が今まで作った電飾ウクレレの中で一番、派手に光ってます。

しっとり雰囲気よく光らせるとこんな感じ。
なお電飾ウクレレは演奏するとLedの光力が増す感じになります。
やっとここらへんで峠は越しました。今のところ大変順調な仕上がりに近づいてます。
(電池ケースの設置)



意外と難しかったのがこの電池ケースの設置。当工房の電飾ウクレレは通常、単5電池を3本使用する
のですが、汎用性を考え、今回は単4電池に。設置場所も重量バランスを考慮しています。
裏板のブレージング位置も計算して製作しているので構造的にも良い結果が得られると思います。
(裏板のブレージング)


少し変わった感じですが、タッピング音は良好。
(塗装)


(全体の塗装は、外で一日かけてやっています。)

塗装も塗りすぎては音に影響します。うまく均等塗装すると音も良いので、塗装は手塗りで時間をかけ
ます。今回は黒のラッカーの後に、クリアーのラッカーで(4回ぐらいの重ね)手塗りです。仕上げは800
番の紙やすりにレモンオイルをつけて軽く研磨し、コンパウンドで艶を出してます。塗装は失敗すると
二度手間になるので慎重に素早くがコツです。Ledがあるため、なかなかTopへの塗装は難しいです。
(ほぼ完成!!)

クリアーを塗ると光度もアップします。このあと、ピックアップをつけ、塗装直し、ピッチ直しなどの
微調整をしてから乾燥後、完成です。
(ピックアップの装着)

大きめのピエゾマイクを両面テープで張りつけ。

電池Boxは4つのネジでフタを固定。

カッタウエイ横にはフラッシュLedスイッチ(赤色)が。

左側には、スイッチ群。バリエーション豊かな電飾効果が可能に。
(ストラップの装着)


ヘッド上部にストラップ専用穴の部品を追加。ストラップは、タカミネ製のギターストラップを今回の
電飾ウクレレ用に改造。ヘッドは装着と脱却がスムーズにいくように100円ショップにある携帯
ストラップの部品を流用。エンドピン側も皮をスマートにしてウクレレに使えるようにしました。
ブラック ヒール電飾ウクレレ、ついに完成!!

明るい場所でも部屋の明るさならば電飾変化が充分確認できます。

(上斜めから)オンオフスイッチが黄色いLedで光っています。指板サイドポジションも
光ファイバーで光ってます。


サウンドホールのLedは速いテンポで7色に変化しています。
(コメント)
出来上がるまで1年かかりましたが、これはすべてをこの製作に力をそそいでも4ヶ月以上はかかる
でしょう。
手間はかかりましたが、ネジ式にしてメンテナンス製を高めたことが今回の収穫です。
このウクレレは、持ってみた重さから、「エレキ ウクレレ」そのものですが、予想よりも音は良いですね。
音量も生音でライブに充分使える範囲内です。ダダリオのクリア弦との相性が良いようで、音は
とても上品で優しい音がします。アルペジオ演奏やウクレレソロ演奏には特に向いているようですね。
今回は、電飾回路関係のトラブルもなくて運も良かったです。
依頼者の方のご注文と希望で、お陰様で今回は本当に見た目の形も音もバランスよく映える作品に仕上がり
ました。(ウーン、これはライブで使いたい)
(更新日:2007.8.19.)