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GB DELUXE '95

文−浜田次郎


草野マサムネ−

 

あまのじゃく・マサムネのルーツ

 

スピッツの作詞・作曲を担っているボーカルの草野マサムネ。不思議で魅惑的なスピッツ・ワールドの秘密を探るべく、彼のルーツ・ミュージックについて聞いてみた。自称”あまのじゃく”の彼の趣味がよーくわかるぞ。

 

 スピッツの歌を口ずさんでみる。どこからか懐かしく切ない気分がやってくる。恋をしたくなる。恋をしたときの甘くてちょっと悲しくなるような気持ちを思い出す。

 スピッツがバンドを結成してから、すでに8年が過ぎた。けれど彼らの曲は、ますます初々しい光で包まれている。何か特別な薬でも?それともその秘密は実際に恋をすることにある?スピッツの歌の秘密。あの雲を掴むようなそれでいて胸の急所をグサリと突く歌詞(ことば)はどこから?そんな”?”を解く鍵がみつかるかもしれない。スピッツ草野マサムネの音楽観、のんびりといきます。

 

--スピッツの結成にブルーハーツの影響があるって話を聞いたことがあるんですが。 

 そう。最初、ブルーハーツを目指してたんですよ。今でも初めて彼らのライヴを見たときの感動を凌ぐライヴに出会ってないし、これからも一生見られない気がするんです。あのころ10代だったってこともあったし。そのころ学生でサークルみたいなのでバンドやってたんですけど、ブルーハーツを見てからは「趣味でやるんだったら、オレはバンドなんかやる必要はない」っていったんバンドやること自体をやめちゃったんです。もうブルーハーツのいちファンでいいって、そこまで思い込んじゃって(笑)

 

--でも、それでスピッツの4人が集まることに。

 だからバンドやるんならマジでやりたい人間を集めなきゃと思ったんです。田村は、前のバンドでも一緒だったんだけど、けっこうマジだったからまず2人で始めようってことになって、テツヤは田村の友達で、よし、これもマジだって、(笑)即決して。サキちゃんは、そんなによくは知らなかったんだけど、テツヤと同じ学校に通っていたから頼んでもらってね。ヘルプで入ってもらいました

 

--崎山さんは、そのころ怖いパンク野郎のいでたちでみんなをびびらせたって話もありましたね。

 (笑)一気に集まったメンバーだったんだけど、ひとつの目標に向かってやるようになってまとまってきたんです。それがロフト(当時、そこで演奏することがアマチュア・ミュージシャンのひとつのステイタスになっていた)に出ることでね

 

--その当時のスピッツはどんな感じでしたか?

 結成して1年ぐらいは、もうブルーハーツ

 

--彼らの曲で特に好きだったものがあります?

 ファースト・アルバムに入っていた曲は全部好きでした。今はひっぱりだして聞くってことはないんですけどね。うーん、いちばん好きだったのは、その前にインディーズで出したシングルの「人にやさしく」なんですよね。うまくはないんだけど、今聞いてもすごい迫力で、感動します

 

--でもスピッツはブルーハーツにはならなかった。

 はい。ブルーハーツみたいになりたいって思っていたんだけど、やってるうちに人間がブルーハーツと違うってことが明らかにわかってきたんですよね。(笑)たぶんルーツも違うだろうしって…。いちばん違ってたのは、言い方が正しいかわからないんだけど、根底に”おぼっちゃん的なめめしさ”がスピッツにはあるような気がしたんです。そういうところを隠してやるっていうのはおかしいと思うし。これはブルーハーツ的じゃないとかパンクっぽくないっていう理由でやめちゃうのは、すでにもうパンクの精神に反しているなってこうじゃなきゃいけないっていうのを全部取っ払って、ありのままで自分たちが気持ちよくやれる方法を模索し始めたのが結成して1年ぐらいのころ。そしてアコースティック・ギターを入れ始めて、お客さんもにわかに増えだして。自分らしさみたいなのに目覚めたことによって開けてきたっていうのは確かにあるんですよね

 

--そのころ好きで聞いてたり、流行ってたバンドは?

 うーん。あっ、好きで聞いていたのは、シュガーキューブス!(ビョークが在籍していたバンド)ストーン・ローゼスとかかな。あと、バンドの中ではやっていたのは、スミスとか。オレ以外はガンズ&ローゼスにはまっていた。オレはダメだったけど

 

--日本のバンドでは?

 ちょうどバンドブームのころなんですよね。インディーズの余波がまだ強く残ってて、有頂天がメジャーで出てきたりとかね。でも、もともとメジャー感のあるグループ(BOOWYやパーソンズ)は売れていたけど、インディーズから殴り込みをかけた人たちはあんまりうまくいかなくってね。よけいオレたちの中に、メジャーで出すってことはカッコ悪いことなんだって焼きつけられたんです。いつまでもインディーズで極めていけたらカッコいいのにって、そのころは単純に思ってましたね。でも、アンジー、レピッシュ、ブルーハーツはそれ以前にいなかったタイプですごく影響を受けたっていうか、その存在に触発されて出てきたバンドだと思う、スピッツは

 

--バンドに限らず、個人的に聞いていた音楽は?

 昔からそうなんですけど、アンダーグラウンドなものっていうのにすごく惹かれるんです。最近ではオルタナティヴ系のとか。もうメジャーになってしまったけど。邦楽でも、高校生のころにスターリンとかに目覚めて、「こういう歌詞作りたい!」とかって思ってた。決してキヨシロー(RCセクション)とかYMOにいかなかった。今は、おもしろいと思えるんだけど。とにかく超メジャー感のあるものはそれだけでダメ。だから、遠藤ミチロウさんとか友川かずきさんとか。T-REXのころのマーク・ボランとか、グラムロックと言われてたころのデビッド・ボウイ!好きだったし、今も聞きますね

 

--最近でも、ライヴでカバーを演奏したりしますよね。これまでにカバーをしたものってどんなものがありますか?

 高校1〜2年のころ、バンドを始めたあたりはチェッカーズや、メタルのUFOとかマイケルシェンカーとか。そのころギターだったんで。でも才能なかったみたい。(笑)その後、他人の曲でお客さんが盛りあがるのが許せなくて、オリジナルだけでやったら受けなくて。それがバネになりましたけど。(笑)スピッツ結成してからは、ラモーンズとか。でもその後、自分らしくって自我に目覚めてからは、(笑)ミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」をロックっぽくアレンジして、日本語の歌詞をつけてやったりしてた。ビートルズとかストーンズの曲とかってみんなやるじゃないですか。そういうのって許せなかったんで(笑)

 

--あまのじゃく。(笑)

 あくまで。(笑)はっぴぃえんども許せない!(笑)デビューしてからは、昔の和製ポップをロックっぽくアレンジしていたようです。弘田三枝子の「バケーション」「子供じゃないの」とか、中尾ミエの「アイドルを探せ」。田代みどりの「パイナップル・プリンセス」、和田アキ子の「どしゃ降りの雨の中で」もやった。それをビージーフォーにならないように、(笑)オルタナティヴ系のアレンジにしてね。でも、そういうのがスピッツぽいって、お決まりみたいになってきちゃっておもしろくない。で、じゃあ、その逆をついて最近の曲をやろう!って思いついてその第1弾としてやったのがリンドバーグの「Beleave in Love」。レゲエのアレンジでね。あとブームの「星のラヴレター」とか。当時ブームとスピッツはファンがだぶってて。みんなにそんなことは絶対やらないだろうって思わせておいて…やった。結局お客さんは大喜びだったんですけどね。(笑)で、この間はついにブルーハーツの「リンダリンダ」をやりました。trfのやろうとかいろいろアイディアあったんですけどね

 

--今、気になっているアーティストっています?

 洋楽で、メジャーなのではスーパーグラス。基本的にパンクっぽいかな。マシュー・スイートの新譜もよかったな。邦楽では、この前小沢健二のライヴに行ったらすごく楽しかった!あと、最近はアメリカのオルタナティヴに影響を受けた日本のインディーズものをチェックしてるんです。きちんと日本語のはまったオルタナティヴ、みたいな。絶対出てくると思うんですよね。今すごく期待してるんです

 

--小さいころはどんな音楽を聴いて育ったんですか?今、その影響を受けていると思いますか?

 家はいつもAMラジオが鳴っていたんです。だから、そのAMラジオから流れてくる歌謡曲っていうのが、大もとのルーツになるんだと思います。作家でいうと筒美京平とか浜口庫之助、都倉俊一とか。最近も天地真理とかCD買ってみたりしたんです。渡辺真知子もすごくおもしろかったな。そういう歌謡曲の影響ってすごく受けてると思いますね。あと…風邪をよくひいてた小学校5年生のころ、部屋で横になってラジオを聞いていて。歌詞がわからなくてもこれだけで感動できるんだって思ったんですよ。ブームタウンラッツの「哀愁のマンデー」、ビリー・ジョエルの「オネスティ」とか好きだった。いちばん好きだったのはチープ・トリック!キャラクターから何から理想形なんですよね。ファンクラブに入るか迷ったくらい好きだったなあ

 

--さて、最後に。スピッツのコピーをやってみようという若者に、(笑)何かアドバイスを?

 スピッツの歌を女の子に歌ってほしいんですよ!個人的希望でもあるし、キマる気がするんです。あと、女っぽい男の人とかね。それから、何をコピーするときでも同じなんだけど、音域の上下が開き過ぎちゃって歌えないってことがあると思うんですが、そういうときは自分で作っちゃって、アレンジしちゃっていいと思うんです。コピーというよりもカバーするって気持ちでね。それで元よりカッコよくなったらしめたものですよね。歌詞も嫌いだったら変えてしまってもいいし。おもしろく自分らしくして楽しんでもらえたらいいですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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