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<厚生労働省研究>

ドクターヘリで死者減少

 

 全国7県の救命救急センターが所有するドクターヘリで搬送された患者は、救急車の搬送にくらべると、死亡する割合が約26%減少することが27日、厚生労働省研究班の推計でわかった。119番通報から医師による治療開始までの時間が救急車よりも約半分に短縮。研究班は「救命効果の高いドクターヘリをもっと導入すべし」と指摘している。

高い救命効果

 調査対象はドクターヘリを運用している千葉、神奈川、静岡、愛知、和歌山、岡山、福岡の7県で、救命救急センターが所有するドクターヘリによって2002年の1年間に搬送した1,793人。

 各センターが患者の重症度や出血量、治療開始までに要した経過時間などをもとに「救急車による搬送ならば死亡していた」と判断した患者数は計510人。このうち実際に亡くなったのは379人で、ヘリコプター治療によって131人(25.7%)の命を救った計算になる。

 救急車による搬送だと、障害が残る重症者は推計226人だが、実際には140人にとどまり、ヘリ搬送によって38.1%減少したとみられる。

 119番通報から現地までの所要時間で見ると、医師が同乗するドクターヘリは25.3分。救急車による搬送から病院到着までの推定時間は47.5分で、治療開始時間はドクターヘリで約22分短縮できた。

 大量出血を原因とする死亡率は出血後30分で5割に達し、その後急激に100%に近づく。したがって119番通報から25分で現地に到着し、同乗医師がすぐに治療できるドクターヘリの救命効果は高い。

 調査を行った日本医大千葉北総病院の益子邦洋救命救急センター長は、「今回の調査でドクターヘリの導入効果が実証された。今後も救急医療体制の充実に向け、効果的な利用が全国に広がるよう研究を進めたい」と話している。

自治体は導入に及び腰

 厚生労働省は2001年度からドクターヘリの導入を促進している。国と都道府県から救命救急センターに計約1億7千万円か支給されるが、今年3月新たに導入された静岡県内のセンターを加えても導入したのは7県8か所。財政難の自治体は導入に及び腰で、2006年度までに30か所という同省の整備計画は大幅に遅れている。

 着陸場所の確保も課題の一つ。昨年6月に東名高速道路で起きた玉突き事故では愛知県と静岡県からドクターヘリが出動したが、高速道路の本線上への着陸を管理者である日本道路公団が認めず、到着時間が大幅に達れた。

 一方、海外での普及は進んでいる。ドイツは全国で約80機の救急ヘリが導入され、半径50キロ圈ごとにある基地病院に配置。こうした体制整備もあり、1970年代に2万人に及んだ交通事故死は92年には7千人に減少した。フランスやスイスも同様のヘリコプター救急体制を整えている。

ドクターヘリとは

 ドクターヘリは、医師が乗り込み、酸素吸入器や心電図などの医療機器を装備しており、搬送中も気道確保や薬剤投与が可能。出動要請から約3分で救急専門医や看護師も同乗して基地病院から出動する。巡航速度は毎時約200キロで、半径50キロ圏内なら15分以内に到着可能。特に山間部など地上交通の不便な場所で医師による治療開始時間や病院への搬送時間を大幅に短縮できる。(日経、2004年6月28日より要約)

(JSAS、2004.7.14)

 

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