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<沖縄タイムス>

沖縄北部のヘリコプター救急活動

 沖縄県名護市の北部医師会病院(高芝潔院長)は去る6月16日からヘリコプター救急事業を開始した。本島北部の遠隔地や離島の医療過疎を解消するのが目的で、中日本航空のEC135ヘリコプターをチャーター、急病や事故などの緊急時に医師と看護師が乗って現場に急行する。

 待機時間は午前8時半から午後6時頃まで。消防本部から一報を受けると医師らが同病院敷地近くのへリポートに走り、2〜3分でヘリコプターに乗りこんで離陸する。飛行時間は東、伊江まで7分、国頭へ13分。管内で最も遠い伊平屋でも16分で到達できる。

 これまでは国頭消防本部から陸路、救急車で最も時間がかかる楚洲までの平均到着時間は37分、安田で28分、名護市内にある同病院や県立北部病院までの収容時間は、それぞれ平均で120分、90分もかかっていた。とりわけ産婦人科の医師不足から危険が伴う出産などは極めて困難な状況にあったが、ヘリコプターはそれを大きく改善しつつある。

 しかし問題はなお山積している。ひとつはドクターヘリと異なり、機長の判断だけで着陸地点を選べないこと。あらかじめ飛行場外の着陸許可を取得しておかなければならない。今のところは39ヵ所の許可を得ているが、これでは不十分で、せっかく早く着陸地点に飛んでいっても、そこから救急現場まで時間がかかり、ヘリコプターの効果が発揮できない。今後ますます多くの着陸地点を確保することが一刻も早い患者の救助につながる。

 もう一つは、比地大滝や普久川が流れ込むタナガーグムイなどは、地形的に患者を吊上げる必要がある。しかし現用機にはホイストがついていないので、谷間からの救出には多くの人員と労力を費やしている。これでは短時間の救急医療も困難である。このあたりの問題解決には自衛隊や海上保安庁の協力も必要であろう。

 第3の問題はヘリコプターの運航費。病院としては通常の往診費以外は徴収しておらず、現状では病院側の負担は大きい。これがドクターヘリならば、同じ機材で約1.8億円の助成が国と県から出るわけだが、それを病院とヘリコプター会社で負担しているのだ。

 しかし需要は予想以上に多い。8月8日まで2ヵ月足らずの出動要請は32件で、これから増加の傾向にある。それに、わずかな実績だけでも、ヘリコプターによる「医療効果は大きく、地域のために金をかける価値は十分にある。本来救える命を、搬送時間や距離のために失ってはいけない」と高芝院長は話す。

 そのためには、国と県からの補助が受けられる「ドクターへリ」としての正式事業化をめざすことにもなろう。ヘリコプターの導入は消防の負担軽減にもつながる。都市部と異なり構造的にコスト高となる過疎地の医療費を誰が、どう負担するか。早急な検討が求められている。

(沖縄タイムス、2007年8月12日付けより要約)

(JSAS,2007.8.15)

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