<読売新聞>
九州地方ドクターヘリ導入進まず 救急医療が必要な現場やへき地に医師を派遣する「ドクターヘリ」の導入が伸び悩んでいる。厚生労働省が2001年度の事業開始当初、5年間で全国に30機を導入する計画だったのに対し、現在あるのは11機。九州では福岡と長崎だけだ。ヘリポート設置のための用地確保や財源の問題から二の足を踏む自治体が目立っている。
ドクターヘリは、配備した救命救急センターに年間約1億7000万円を上限に国と都道府県が半額ずつ補助。それを超えた分はセンター側が負担する。
福岡県では久留米大学病院高度救命救急センターが2002年に運用開始。事故現場やへき地の救急治療に出動する。2005年度は搬送した約半数の185人が集中治療を必要とする重症患者で、うち61人が死亡したが、ヘリコプターがなければさらに36人が死亡した可能性があったという。
昨年12月に導入した長崎県は9月までに276件。「離島からの救急搬送に効果を上げている」と話す。
一方、大分県は福岡県と協定を結び、県北西部をカバーしてもらっているが、県独自の導入には慎重。県唯一の救命救急センターにヘリポートがなく、ヘリコプターに乗る医師や看護師を確保できる病院もないためで、「導入にはハードルが高い」と説明する。
山口、熊本県は現在、防災ヘリによる医師の救急搬送を実施。両県は「ドクターヘリの導入で、どの程度効果が出るか未知数。慎重に検討したい」としている。
こうした状況を踏まえ、普及をめざす特別措置法が今年の通常国会で成立した。各県の医療計画にヘリコプターの導入時期などを明記するよう求め、保険業界などから寄付を募って助成金を出す制度の創設を盛り込んだ。厚労省は「今後、助成金制度などが整えば、自治体も導入しやすくなるのでは」としている。
日本救急医学会理事長の山本保博・日本医科大教授は「このままでは自治体間で『命の地域格差』が広がる。国や自治体は投資を惜しむべきでない」と指摘している。
(読売新聞九州版、2007年10月7日付より要約)
(JSAS,2007.10.9)
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