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<静岡新聞ほか>

ドクターヘリ心肺停止の小児を救う

 去る1月2日、3歳の男の子が愛知県の山間部で、真冬の溜め池に転落して心肺停止状態になったが、ドクターヘリで救助され、20日後の22日、後遺症も全くない状態で退院した。この奇跡的な回復の背景には、救急隊、ドクターヘリ、小児救急病院、集中治療室での医療処置など迅速的確な連携があった。入院先は静岡県立こども病院、ドクターヘリは聖隷三方原病院救命救急センターの機体である。

 こども病院によると、男の子は2日午前10時ごろ、氷の張った溜め池に沈んでいるのが見つかった。発見したのは父親で、わが子の小さな靴が水面に浮かんでいるのを見つけ、そのまま氷の張った池に飛び込み、子供の髪をつかみ、腕を引っ張り上げたが、息はなかったという。

 このときまでに子供は10〜30分間にわたって心肺停止だったと推定される。普通は5分以上の心停止で脳に酸素が供給されないと、脳細胞が損傷して後遺症が残り、10分以上になれば死亡する危険性が増す。こうした状態で、父親は119番に電話をして、人工呼吸をするよう指示を受け、自己流でそれを行ない、水を吐かせた。病院関係者はこうした対応も適切だったとしている。

 間もなく現場に駆けつけた救急隊員は、すぐにドクターヘリを要請、意識不明の子供は発見から1時間45分で、70km以上離れた静岡市の県立こども病院に運ばれた。この病院の小児集中治療室(PICU)は12床で、昨年6月オープンしたばかり。同病院によると、東海地区では小児重症患者に24時間対応できる集中治療室があるのは同病院だけという。13人の医師が完全2交替で、年末年始も普段同様に対応している。

 この応急態勢にもとづき、「静岡県メディカル・コントロール協議会」は昨年7月、全国で初めて小児重症患者の救急搬送基準をつくった。心肺停止、大量出血、重症呼吸不全などの場合は、全て同病院へ運ぶ取り決めを交わしていた。こうした仕組みも功を奏したものとみられる。

 加えて、子供の落ちた溜め池は、場所が愛知県だった。しかし、ドクターヘリを要請したとき、愛知県のドクターヘリは他の救急任務のために出動中だった。そこで静岡県の機体が応援に飛んだわけだが、両県の協力体制も普段から行なわれていたことである。

 ヘリコプターに乗せられた小さい患者は、こども病院への搬送時の体温が28度の低温状態だった。病院では集中治療室で体温を33〜34度に維持する「脳低温療法」を実施、5日目から徐々に体温を上げると6日に意識が回復し始め、12日には一般病棟に移れるところまで回復した。そして22日に退院したものだが、父親は「子どもの元気な顔を見られて本当にうれしい」と喜びと感謝を語った。

 また、こども病院の吉田隆実院長は、ドクターヘリとの密接な連携で、すぐれた救命効果が得られ、病院としても高度救命救急センターの機能が発揮できたと強調した。これこそは関係者全員の命をつなぐ努力の成果といえよう。(静岡新聞、読売新聞、東京新聞、中日新聞、朝日新聞、2008年1月22〜23日付より統合要約)

(JSAS,2008.1.23/加筆2008.1.24)

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