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<ヘリコプター救急>

国家的課題に寄与する

 去る6月7〜8日、東京ビッグサイトで開催された日本臨床救急医学会総会で、日本医科大学千葉北総病院救命救急センター長の益子邦洋教授は「救急医療におけるヘリコプターの活用」と題し、ドクターヘリに関して要旨次のような講演をおこなった。

 ドクターヘリの全国配備を阻む最大の要因は運航費用の問題である。ヘリコプターの整備が特に必要と思われる北陸、山陰、四国には未だ1機も配備されていない。命の地方格差が拡大するのを防ぐには、運航費を保険給付の対象にすること、各種団体・個人からの寄付を募り運航費の一部を賄うことを柱とする新たな費用負担の仕組みを作らなければならない。

 さらに今後の課題は、消防防災ヘリとドクターヘリとの連携体制の構築である。それぞれのヘリコプターを最大限に活用するには、業務分担を明確にする必要がある。消防防災ヘリは捜索救助、病院間搬送、離島僻地の医療搬送を担当し、ドクターヘリは救急現場への医師派遣、現場治療、現場からの患者搬送を行なう。こうして互いに補完し合い、連携し合う仕組みを構築すべきである。

 多くの重症患者の防ぎうる死(preventable death)を減らすことは国家的課題だが、ヘリコプターの適正かつ十分な配置を行うことなしにその解決は困難であり、ヘリコプター救急にかかわる財源の確保と、救急医療を担う医師の育成が急務である。ヘリコプターを活用して医師の治療開始時間と病院への搬送時間を大幅に短縮すれば、脳卒中、心臓発作、重度外傷、僻地医療、小児救急、周産期医療、災害医療など多くの局面で国民の健康維持と危機管理に寄与することができよう。

 ヘリコプター救急システムは、先進国必須のインフラにほかならない。(日刊航空通信、2008年6月10日付より要約)

(JSAS,2008.6.11)

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