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<沖縄タイムス・琉球新報>

沖縄北部救急ヘリ運休の影響

 沖縄県の北部地区医師会病院は、昨年6月から自主運航してきた救急ヘリコプター事業を、資金難のため7月から中止すると発表した。しかし北部地区医師会は、それに代わって救急ヘリコプターを運用するNPO法人「MESHサポート(仮)」を設立すると発表した。NPOの設立で行政、企業などさまざまな団体からの補助、支援を募り、早急にヘリコプターの運航を再開させたい考えで、NPOによる救急ヘリコプターの運用は国内初という。

 北部地区医師会の大城会長は「一民間病院で運用費の負担継続は不可能だ。断腸の思いで一時休止するが、救急ヘリ存続に集まった7万人を超える署名を裏切ることはできない。北部の救急医療体制確保にはヘリコプターは不可欠」と話し、運航存続のためのNPOの必要性を強調した。

 運用が新法人に移行した後も、ヘリコプターに同乗する医師、看護師は北部地区医師会病院から派遣し、搬送費用も引き続き無料とする。NPOの理事会は同病院救急部、運航会社、政財界、企業で構成する予定で、来週にも発起人会を開き詳細を決めるという。

 同会によると、 同病院の救急ヘリは、運用開始の昨年6月から今年5月24日までの出動件数は207件。診察患者数は191人となっている。初年度から200件を超える出動は珍しいという。また、これまで1年間のヘリコプター運航費は年間約8,500万円。人件費や施設整備費などを含めると約1億2,000万円の費用がかかったという。

「ヘリのおかげで一命を取り留めたのに」「この先一体どうすればいいのか」。北部地区医師会病院の救急ヘリ運休が決まって、沖縄本島北部の住民に動揺が広がった。ただでさえ、病院や医師が少なく、医療過疎に悩む地域で救急ヘリは、一分一秒を争う救命に欠かせない。3月には北部の市町村挙げて公的ドクターヘリ事業の導入を、県に要請した中での運休発表に、緊急時への不安と落胆の声が上がった。

 2007年7月から約80回利用している国頭地区消防本部の親川守洋消防長は「多いときは週に3〜4回利用する。一本部単位での利用回数は全国でも例がないだろう」と話す。

 救急ヘリはなくてはならない救命手段といい、「運休が現実となれば大変不安だ。救急ヘリは北部、離島だけの問題だというイメージがあるが、レジャー客が負傷して治療にあたるケースも多い。全県民が共有する問題だ」と指摘した。

 国頭村比地の安里昇さん(77)は2007年、二度のぜんそく疾患で意識不明となり、救急ヘリで搬送された。妻のチエ子さん(65)は、担当医の「ヘリコプターがなければ助からなかったよ」という言葉を今も忘れない。昇さんは「政府は後期高齢者医療制度で老人から徴収したお金を、こういう予算にこそ充ててほしい」と訴えた。

 県立の診療所が休止して1年になる同村安田区では「一番近い国頭消防本部から救急車でも30分以上かかる。救急ヘリは北部にこそ必要ではないのか。国に見捨てられた気分だ。診療所も休止した今、緊急時にどうすればいいのか見当もつかない」と危機感を強める。

 離島地域の不安も深刻だ。伊江村では昨年6月の運用開始から二十数回利用した。大城勝正村長は「ヘリなら病院との往復が約20分程度なので、休止は大変残念。国、県の支援で、何とか存続できる道を探れないものか」と話した。

 県庁で記者会見した北部地区医師会病院の小濱正博副院長も「どうか支えていただきたい」と、救急ヘリ運休に強い危機感を漂わせ、7月以降の運行継続に幅広い支援を求めた。

 同病院のヘリは、伊平屋、伊是名、伊江の3離島を含む北部12市町村をカバー。病院関係者は、救急過疎の北部地区で、多くの命を救ってきた自負がある。ただ、ヘリの運航費は月額約七百万円。自前で経費を賄ってきた病院側の負担は、既に限界に達している。(琉球新報・沖縄タイムス、2008年5月29日付より要約)

(JSAS,2008.6.21)

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