<中日新聞>
ドクターヘリの重要度急上昇 ![]()
愛知医科大学病院の中庭。白地に赤いラインが入ったドクターヘリが芝生の上に駐機している。消防の通信司令室から出動要請が入ると、院内の高度救命救急センターにいる医師と看護師が飛び乗って直ちに現場へ向かい、医師はその場で初期治療を開始する。
ドクターヘリ事業は、同病院が愛知県から受託し、年間400〜500件の出動をしてきた。高速道路の多重事故のほか、生命にかかわる症例などが対象で、四肢切断などのけがが6割、脳や心臓などの急病が4割だ。
この救急体制がはじまったときからドクターヘリに乗っている井上保介医師は「到着時間の短縮だけでなく、医師が現場で診療できることが大きい。これで助かる命が増える」と強調。医療の地域格差解消の役割も指摘する。
ドクターヘリのこうした効果にもとづいて、岐阜県も導入に向けて調査費など1,440万円を計上した。担当者は「県面積が広く、救急医療体制の充実を求めて市町村などから要望が出されていた」と説明。早ければ2009年度末にも配備される。
三重県は、7月に予定されている県医療審議会救急医療部会が、県内全域を対象とする導入について検討する。これまで和歌山、奈良の三県合同で運用してきたが、範囲が紀北町以南に限られ、2007年度の全出動379件のうち三重まで飛来した例は9件にとどまっていた。
このように、ドクターヘリが近隣県で増えてゆくことについて、井上医師は「1機が運航中、新たな出動要請が入っても補完できるようになる。大事故や災害時でも複数機を運用できるので、1足す1が2でなく3にも4にもなる」と期待する。
現在、ドクターヘリは13道府県で14機を運用。昨年6月のドクターヘリ特別措置法の成立で、導入の動きが加速した。本年度は青森、群馬、沖縄の3県が導入の事業費を予算化している。
なおドクターヘリは、阪神大震災で患者搬送にヘリコプターを活用できなかったことを教訓に、2001年度から国の補助制度によって始まった。消防機関からの出動要請に基づき、医師、看護師が基地病院で搭乗、現場で診療し医療機関に搬送する。1機当たりの維持管理費は年間1.8億円といわれ、国と都道府県が折半する。昨年成立した「ドクターヘリ特別措置法」では、都道府県が医療計画に整備目標などを盛り込むよう求めている。(中日新聞、2008年5月29日付より要約)
(JSAS,2008.6.22)
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