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<日刊航空通信>

岩手宮城地震から見た今後の課題

 総務省消防庁は岩手・宮城内陸地震の発生にあたり、「迅速出動が何よりも大切」として、40分後には9都道県に岩手県への緊急消防援助隊の出動を要請、3時間後には12都県に宮城県へも向かうよう要請した。その結果、消防防災ヘリコプターは合わせて20機が出動、孤立した住民の救出や情報収集などにあたり、翌15日までに167名の住民を避難させることができた。

 こうした成果を踏まえて、応急対策室の大塚泰史航空専門官は「全体的にはうまくいったが、細かいところを見て次の震災に備える必要がある」と、次のような課題を指摘した。

課題1:ヘリコプター部隊の状況把握

 消防防災ヘリや自衛隊のヘリ、警察ヘリの運航を調整する本部が各機の運航状況を十分に把握できていないケースがあった。「各機がどこで何をしているのか」を把握する必要がある。また、緊急消防援助隊として出動した際はどこへ向かうのか。基本計画はあるが、よりきめ細かく見直すことで「迅速出動」の効果を高めてゆく必要がある。

課題2:被災状況の全体像の把握

 岩手県の防災ヘリコプターは機上、地上ともヘリテレ伝送システムを備えておらず、可搬型ヘリテレ受信機が無償で貸与されている状態だが、この受信機を所要の場所に運ぶのに時間がかかる。また受信可能な地域も半径15kmと狭いため、応援機が被災地の映像を撮影してもリアルタイムで伝送できず、全体像の把握に時間がかかった。このためヘリコプターの運航調整にも悪影響が出ており、可搬型ヘリテレ受信機では初動体制での使用に限界があることを示した。一方、固定局は半径75kmの範囲で受信可能だが、カバーされない地域は全国10ヵ所以上あるので、ヘリテレの地上設備、機上設備の整備を早急に進めなくてはならない。

課題3:空域の規制

 被災地上空が、報道ヘリなども加わって混雑し、危険な状態にあった。飛行の安全を確保するためには飛行制限など、何らかの規制が必要かもしれない。

課題4:一段落した後の柔軟性

 今回は北海道から関東まで、ほとんどの消防防災機が救助に向かったが、通常の活動はどうするのか。消防防災ヘリコプターが緊急消防援助隊として出動すると、被災地の市町村の指揮下に置かれることになり、勝手に通常業務に戻ることは許されない。したがって援助活動が一段落した後は、柔軟に対応できるよう改める必要がある。(日刊航空通信、2008年6月25日付より要約)

【関連頁】
  岩手宮城地震にヘリコプター大動員(2008.6.18)

(JSAS,2008.6.27)

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