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<読売新聞>

ドクターヘリ高まる重要性

 救急医療機器を備え、医師と看護師を乗せて現場に飛ぶ「ドクターヘリ」。岡山県では高度救命救急センターに指定された川崎医科大付属病院(倉敷市)に配備され、高度救急治療の難しい地域や離島、事故や災害現場から、一刻を争う患者を搬送している。こうしたドクターヘリは、県内どこでも約30分以内で飛んでゆけるので、その重要性が高まっている。

 6月のある日、午前10時15分、笠岡消防署から高度救命救急センターに連絡が入った。「4トントラックが横転。患者は40代の男性で、右大腿部を骨折。運転席から救出ずみです」

 担当医と看護師が医療器具を入れたかばんを持ち、病院前のヘリポートに走った。連絡から4分で離陸、10時30分に現場近くの離着陸場に到着した。

 近くに待っていた救急車内で直ちに治療がはじまる。男性に点滴を打ち、患部にガーゼを当てるなど応急措置をしてヘリに移した。ドクターヘリは人工呼吸器や輸血装置を備え、点滴などの手当てをしながら搬送。11時5分センターに着き、素早く救急外来に運びこんだ。

 ドクターヘリは厚生労働省が1999年、全国で初めてここ川崎医科大学病院と東海大学付属病院(神奈川県伊勢原市)に試験配備。現在は13道府県で14機が飛んでいる。

 ヘリコプターは平均時速約230キロ。同乗の医師が着き次第治療ができるため、陸上搬送に比べて患者の死亡率は3分の2程度に減るという。パイロットの人件費、燃料費などの維持費は平均で年間約1億7000万円だが、国と県がほぼ折半して負担している。

 こうしたドクターヘリによって命を救われた患者は、配備以来、推定300人を超えるという。昨年度のヘリコプター救急実績は475件。その約半数が新見、真庭両市など県北部からだった。

 県北の患者搬送は、陸路だと川崎医科大学病院まで1時間から1時間半を要し、県北内の総合病院へも30分以上かかることが多く、治療が間に合わないケースが少なくない。救命センター責任者の鈴木幸一郎部長は「ドクターヘリは極めて重要な搬送手段」と話す。

 一方、県内では、岡山市が消防ヘリ「ももたろう」を持ち、県も来年度中に消防防災ヘリを購入し、運用を始める予定。ドクターヘリと、どう違うのか。

 岡山市の消防ヘリは、2006年は市内外で22人、07年は34人を救急搬送したが、医師や看護師が常に同乗するわけではない。県も購入するヘリを救急搬送にも使う予定だが、主目的は林野火災や災害時の情報収集など。機内にドクターヘリのような医療設備はない。

 川崎医科大学の救命センターは「ヘリコプターの装備も用途も異なるため、県が防災ヘリを導入しても、ドクターヘリの運用状況が大きく変わることはない。傷病者の救命と搬送に重要な役割を担い続ける」と語っている。(池田ちひろ、読売新聞、2008年8月19日付より要約)

(JSAS,2008.8.26)

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