<へるす出版>
ドクターヘリ安全の手引き ドクターヘリ事業は、病院、医師、看護師などを含む医療分野、航空会社、操縦士、整備士、運航管理担当者などを含む航空分野、それに警察、消防などの緊急機関といった複雑多岐にわたる異分野の組織および従事者が呼応しながら、人命救助の一点に向かって集中する協同と協調の任務である。したがって個々の従事者には高水準の資格、技能、判断力が求められると同時に、個人および組織のレベルでは相互の連絡、調整、協力が不可欠となる。
これらの協調態勢に欠けるところがあれば、任務の遂行に齟齬をきたすばかりでなく、ドクターヘリの最も基本となる飛行の安全を維持することも難しくなる。とりわけヘリコプターの救急飛行は、長時間の待機をしているところへ不意に出動要請がかかり、一刻を争って未知の場所に飛んでゆかねばならない。一緒に乗組むクルーは、航空の専門家ばかりではない。にもかかわらず誰もが乗員の一員として、自らの安全確保はもとより、飛行の安全にも重要な役割を果たさねばならない。
ドクターヘリの任務は、出動のたびごとに状況が異なる。そのうえ飛行場以外の空き地、広場、グラウンド、道路、河川敷など、必要に応じてどこへでも降りてゆく。そこには、あらかじめ警察や消防による群衆整理や道路規制などの安全対策がほどこされているとはいえ、常に第三者と触れ合う場所である。しかも時間に追われるため、安全のための充分な対策がととのっているとは限らない。
このガイドラインは、そうした危険と隣り合わせの環境下で進めなければならないドクターヘリ事業が安全かつ円滑に遂行され、目的が達成できるよう安全確保のための基本事項を整理し、関係者の参考に供するものである。各事業体にあっては、このガイドラインを参考とし、それぞれの実情に合わせて安全基準を策定し、実行に移されるよう強く要望する。
2007年10月1日
日本航空医療学会 安全推進委員会
(本書「はじめに」より)
(へるす出版、2007年11月15日刊、¥1,800円+税)(JSAS,2007.11.26)
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