知ったかぶり照明講座
1.舞台照明の役割
| 1.1 舞台照明の歴史 |
| まずはじめに、舞台照明の本質を少しでも理解していただくために、簡単にその歴史に触れていくことにします。 「舞台照明」はいかにして生まれたのか。これをわかりやすく説明する例として「薪能」を挙げることができます。「薪能」とは、夜、屋外に設けられた能楽堂で、たいまつの明かりの中、演じられる能楽の舞台のことです。この場合「能楽堂」が舞台、たいまつが照明ということになります。なぜ夜に行う必要があるのか、なぜたいまつの明かりが必要となるのか。この2つの答えは密接に関係しています。 夜という暗い条件のもと、演目を観客に見せるためには舞台を人工的に照らすことが必要となります。逆に、たいまつという人工的な明かりをより生かすためには、たいまつ以外のより明るい光を排除した空間である必要があります。このような必要十分条件を満たした結果が「薪能」という幻想的な舞台を生み出したのです。 これを現代の劇場に当てはめると一般的に劇場は屋内、しかも密閉された空間となっています。このような条件の下では自然の光は入ってきません。そこに舞台照明が必要とされるのです。さらにその舞台照明を生かすためには、舞台照明以外の光を完全に遮断した空間であることが望ましいといえます。だからこそ、劇場は密閉された空間となっているのです。 その後、照明機材は電気照明の登場によって急速に変化、進歩していきます。点灯・消灯が簡単になり、さらに明るさも自由に変えられるようになると照明効果による表現の幅が大きく広がりました。最近では「ムービングライト」などの登場により、舞台での照明効果がより複雑化、高度化しつつあります。 しかし、舞台照明に求められている役割の本質は、実は薪能の時代から変わっていないのです。 |
| 1.2 舞台照明の役割 |
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一般に「舞台照明」といっても、具体的なイメージはわきにくいかもしれませんが、その役割によって大きく分類すれば3つに分けることができるでしょう。その3つとは「見るための照明」「見せるための照明」そして「観せるための照明」です。 「見るための照明」とは例えばスタッフが舞台上で作業をするときに舞台上を明るく照らしておくための作業灯や、演奏者のための譜面灯、舞台袖や操作卓についている手元明かりのように、出演者・スタッフが円滑にその催し物を進行させるために必要な照明のことを意味します。 「見せるための照明」とは観客に対して出演者や司会者、看板など舞台上、及びその周囲にある情報を明示するための照明、いわば舞台照明の本質となる部分を意味します。舞台で行われる催し物は原則として出演者とお客さんから成り立っています。お客さんが見にきたものをきちんと「見せる」ことが舞台照明に要求される最も重要な役割といえるでしょう。 「観せるための照明」とは「見せるための照明」からもう一歩踏み込んで、催し物の雰囲気をより盛り上げたりするために、照明に色をつけたり、点滅などの効果を駆使する照明のことで、一般に舞台照明というと、こちらの華やかなイメージを思い浮かべる人が多いと思います。 以上が舞台照明に要求される大きな役割ということになるわけですが、本番・仕込みにおいて、これらの要素は独立しているわけではなく、同時に組み合わさって進行していくことがほとんどです。つまり、これらの要素を過不足なく満たしたものがよい舞台照明の条件の一つということができると思います。 学生劇団の照明担当の子から、「照明のプランの立て方を教えてください」と言われたりすることがあるのですが、「こんな感じの色を出したいんですが」とか「くるくる回る照明を使ってみたいんですが」「雪を降らせてみたい」といった効果や機材についての相談がほとんどです。確かに照明の魅力は様々な機材を駆使して、舞台を彩ることにあることは否定しません。しかし、そこばかりにとらわれると、他の要素がおろそかになってしまいます。立てたプランが上の3要素をちゃんと満たしているかどうか、常に意識する必要があると思います。 |
| 1.3 照明の仕事に必要な物 |
| 照明の仕事において、作業を円滑にするのに「あると便利」な道具を以下に並べます。 ・革手袋(かわてぶくろ/かわて):照明はその性質上電気と切っても切れない関係にあり、灯体は長時間点灯しておくと非常に高温になります。その灯体を扱う際に、感電、やけどなどの事故を防ぐために用いるのが革手袋です。力仕事を行う際にも滑り止め、手のけがの防止のためにしておいた方がよいでしょう。一組数百円から2000円くらいまであります。ホームセンターなどで簡単に手に入ります。コンビニとかでもおいてたりします。これは是非購入をお勧めします。 ・ペンチ:ネジなどを締め付けるための道具です。似たような用途でラジオペンチやプライヤー、ニッパーがありますが、ラジオペンチはより精密な物に、プライヤーは厚みのあるものを締め付けるために、ニッパーはバインド線等を切るために使用します。しかし結局、普通のペンチが一番オールマイティーに使えるので、最初の内はこれで十分だと思います。 ・カッターナイフ:カラーフィルターを切ったりするのに使います。きちんとネジやストッパーで刃が固定できるタイプのものが安全かつ使いやすいので良いと思います。ハサミもあるに越したことはないですが、複数の用途に使えるのでカッターの方が便利です。 ・ビニールテープ:いわゆるビニールテープです。黒と白の物があれば便利です。黒のテープはケーブルを養生したりするのに使用し、白のテープはバミるときや、マジックでメモ等を書き込んではったりするときに便利です。 ・油性マジック:仕込み図にメモを書き込んだり、ビニールテープに印を書き込んだりするのに便利です。水性だと消えてしまうので油性の方がよいでしょう。ですが間違っても、舞台の板に直接書き込んだりしないように。 ・ウエストポーチ:以上の道具を入れておくのに使用します。よく「ガチ袋」をしている裏方さんを見かけると思いますが、照明はキャットウォークや脚立など高いところにあがるので、ちゃんとふたができるタイプの物がよいでしょう。 以上がよく使われる道具としてあげておきます。 |
2.照明機材・明かりの基礎知識(その1)へ
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