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こいつが「かすがのぷれず」にやってきたのは、秋を思わせるような、しとしとと雨の降り続く夏の日の朝だった...


『2003年8月18日の朝』
それは、慌しく家を飛び出した朝だった。鍵をかけた頭の上に普段感じない黒い物体が、視界に入ってきた。メスのカブトムシのようだ。街中のマンションで、こんなものを見たのは初めてだった。とりあえず、時間がなかったのでケータイで写真を撮っただけだった。「もし、夜帰ってきてもまだいたら・・・」ちょっぴり期待して出かけた。



『2003年8月18日の夜』
雨はまた一日中降り続いた。気温も上がらなかった。まだ、かぶとがいるような気がして家路を急いだ。すると・・・
朝、いたところより若干動いていたものの、かぶとはまだいた。
洗濯洗剤の箱を改造し、お手製の「虫かご」を作る。そこにプレのトイレ用木屑を入れ、きゅうりと黒蜜を入れておいた。
すると夜中「カサカサ、カサカサ」と音がしたと思ったら
ブーン! ブーン!
手作り虫かごから脱走したカブトはプレたちのいる部屋で一晩中飛び回っていた。


『2003年8月19日の朝』
朝5時に起こされて様子を見に行くと、カブトはカーテンの陰に隠れていた。これ以上部屋の中に入れて寝不足になるのはたまらない(この日はさすがにプレたちの目覚めが悪かった...)のでベランダで放し飼いすることにした。とりあえず、カブトとちょっとしたエサ、寝床を用意して家を出る。



『2003年8月19日の夜』
この日も一日天気が悪かった。外に放置したから、今日はどこかに行ってしまっただろうと思って帰ってみると、ベランダの網戸に張り付いていた。この日もきゅうりと黒蜜をあげる。
   


『2003年8月20日の朝』
睡眠を邪魔されることなく朝を迎え、ベランダを見るとカブトはひっくり返っていた。動かないからつついてみるともぞもぞと動き出す。反転した体を元に戻して出かける。


『2003年8月20日の夜』
ベランダを見ると、またひっくり返っていた。今夜は砂糖水をあげる。すぐに気がつきおとなしく食べていた。食いつきのよさは初日のきゅうりに負けないくらいだった。さらに「パインも食べるぞ」と酔った父が言ってたので冗談半分でおいてみることにした。
   

『2003年8月21日の朝』
カブトはパインの上に乗っていた。パインがだいぶなくなっていたことに驚いた。新しいパインに取り替える。久しぶりに雨が上がり、少し暖かくなりそうな感じだ。
『2003年8月21日の夜』
8日ぶりに日差しが戻ったベランダにはカブトの姿がなかった。またひっくり返っているのでは?とベランダの隅々まで探してみたが、黒いカブトはいなかった。ちょっぴり寂しかったが、無事に巣立ってもらえて本当によかった。






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